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その43:セビリアの酒場から・別腹

2013.03.02 19:05|大航海時代SS
「私が花なんて、柄じゃないわね」


*

カサブランカの港に乾いた風が走りぬける。港に立ち、海を見つめながら、銀髪の戦乙女が呟いた。鈍色の光を放つ甲冑を着込んだ彼女の腕には、両腕に余る程の紫色の花束が抱えられている。
「中々お似合いですよ、船長」
緋色の航海服に身を包んだ男が銀髪の戦乙女に声をかけた。
「うるさいわね。それよりリカルド、物資の積込みは完了したの?」
「えぇ、全て完了しました。それにしてもあの婦人、この船を食料と酒樽で沈めてしまうつもりなんですかね」
リカルドと呼ばれた男は肩をすくめた。
「まったくだわ。この船を商業船か何かと勘違いしてるんじゃないかしら・・・」
その所作に応えるように、戦乙女がため息をつく。
「でも助かったわね。これで万全の状態でこの船を届ける事が出来るわ。リカルド、ただちに出港の準備を。出発するわよ」


**

「船長。奇妙な書簡が届きました」

リカルドがこんな事を言ってきたのは、鉛色の空を抱えたビスケー湾を抜けて半日程が過ぎた頃だった。
「書簡・・・?何かしら。この船が今こんなところを走っているなんて、知っている人間はわずかしか居ないはずだけど」
銀髪の戦乙女は、航海日誌を閉じ、怪訝そうな視線をリカルドに向けた。
現在彼女が船長を務めているこの船は、ちょっと名前の知られた人物の戦艦である。戦事の船であるがゆえ、いつ何時砲弾の雨が降り注いでもおかしくは無い。その為、その輸送は秘密裏に行われていた。緋色に塗られた船体は、けして秘密裏という言葉に似つかわしくはないが、それでも慎重に慎重を重ね、かつ迅速に輸送されていた。
「その”わずか”の方の人間かもしれませんね。我々の航路上で待ち構えていましたから。武装している様子もなかったので応じたんですが・・・」
「書簡の中身は検めたの?」
船長がリカルドに尋ねた。
「はい。毒の類が塗られているわけでも無し、差出人の名前が書いてない他は、特に変わった事はないんですが・・・」
「歯切れが悪いわね。何?呪いの文言でも書いてあった?」
「いえ、中にはおかしな手紙が一通。様々な国の言葉が混ざっていて、読むのに苦労しました」
リカルドが手紙を机に広げる。内容を要約すると、大体こんな事が書かれているらしい。
『勇敢な貴殿に僭越ながら贈り物を用意した。カサブランカに寄港されたし。 ミス.インタプリタ』
リカルドが読み終えると同時に、戦乙女の顔が呆れたような表情に変わる。
「あぁ・・・大体わかったわ」
船長は気の抜けたような声を漏らし、天を仰いだ。
こうして、この船はカサブランカ港へ寄港することとなった。


***

カサブランカの港を乾いた風が走り抜ける。陸から吹きぬけた砂埃の先には、一隻の緋色の戦艦。港に到着すると、それを待ち構えていたように、何人かの水夫が駆け寄った。
「グレゴリーナ様、お待ちしておりやした」
水夫の一人が、港に降り立った戦乙女に告げると、慣れない所作で恭しく一礼する。
「さて?ミスインタプリタはどちらにいらっしゃるのかしら?」
戦乙女は呆れたような表情で水夫を見、水夫の呼びかけに応える。
「ミスインタプリタはここにはおりやせん。代わりに言付を預かっておりやす」
水夫はそう言うと、戦乙女の前に一通の手紙を差し出した。

親愛なるグレゴリーナちゃんへ。

ここに着たって事は、ちゃんと手紙が読めたんだね。優秀優秀。その語学の堪能さと勇気に敬意を表して、贈り物があるよ。町外れの私の倉庫に置いてある食料、弾丸。全部持って行っていいからね。この手紙を君に渡した水夫に全部手筈は伝えてあるから大丈夫。
それから、これは君にお願い。倉庫に置いてある贈り物を、疾風の彼に渡して欲しいんだ。ああ見えて、彼は学があるからね。その贈り物の意味にすぐ気づくはずだよ。多分私に返事をくれるんじゃないかな?それは帰りにセビリアの自宅に届けておいてね。よろしく! 

ミス.インタプリタ



「ですってよ。行きましょうか?リカルド。じゃあ、貴方達。倉庫へ案内してもらおうかしら?」
グレゴリーナは手紙を読み終えると短く笑い、肩をすくめた。
水夫達は一礼すると、倉庫へと一行を促した。


****

グレゴリーナがアレキサンドリアの港に着いたのは、カサブランカを発った数日後の事であった。
「それで、こういう事か・・・。全く、俺の船は食堂じゃないんだぞ」
事情を聞いた軍人風の男は、船倉を見渡しながら苦笑を漏らす。
「これでも相当に積荷を抑えたんですが・・・ともあれ、無事にお渡しできて何よりですわ」
グレゴリーナが男に向かい、一礼する。
「うむ。助かった。礼を言うぞ」
軍人風の男がグレゴリーナの手を取り、握手を交わす。
「礼には及びませんわ。そうそう。大切な預かり物がもう一つ。その『ミス.インタプリタ』から、ミッターマイヤー様に贈り物を預かってますわ。こちらです」
グレゴリーナが合図をすると、リカルドが大きな包みを持って歩み寄ってきた。軍人風の男、ミッターマイヤーに一礼すると、その包みを開ける。
「これは・・・ジキタリスの花束と・・・ポートワインか・・・あいつは全く・・・」
ミッターマイヤーがばつの悪そうな表情で頭を掻いた。リカルドはその意味に気づいたのか、ミッターマイヤーの方を見、思わずにやける。
「ミッターマイヤー様?どうかなさいましたか?リカルド?何故笑ってるの?」
グレゴリーナはその意味がわかっていないのか、不思議そうな表情でミッターマイヤーとリカルドを見ている。
「いや、グレゴリーナ。何でもない。何でもないんだ。こら、リカルド。笑うんじゃない。・・・グレゴリーナ。ミス.インタプリタには・・・そうだな、金魚草の鉢植えでも贈ってやっておいてくれ」


*****

後日。
セビリアのとある邸宅に、ミッターマイヤーより一つの贈り物が届けられた。
「見事な金魚草ですな。いやはや、ミッターマイヤー様は草花にも通じていらっしゃったとは」
執事風の男が、言いながら空になった少女のカップに茶を注ぐ。
「金魚草。花言葉はおせっかい。でございましたね」
執事風の男はティーポットをテーブルに置くと、陽光差し込む窓を開けた。セビリアの乾いた風が部屋に流れ入る。
「そうだよ。金魚草を選ぶ所が彼らしいね。彼にはジキタリスを贈ったんだけど・・・」
「ジキタリス・・・熱愛、隠されぬ恋、でございましたでしょうか」
「そうそう。ポートワインはちょっと下世話かな?と思ったんだけど、彼なら笑い飛ばしてくれそうだったから、気にしないで贈っちゃった」
「それは些か度が過ぎるのではないでしょうか」
執事風の男が苦笑を漏らした。

褐色肌の少女は、注がれた茶を飲みながら、にやけた表情を浮かべている。

「まぁ海の男はその位で丁度いいよ。ふふふ。成功するといいね」


開けられた邸宅の窓から、柔らかな風と陽光が降り注ぐ。きらきらと揺れ動く金魚草を見ながら、少女と執事は穏やかな午後の時間を楽しんでいた。

テーマ:大航海時代Online
ジャンル:オンラインゲーム

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