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その18:帰れる場所があるから

2012.06.12 22:18|大航海時代SS
それは、日が昇りきった、ある日の午後の話。

*

 セビリアの閑静な商館地区に、小さな影がひとつ。その影の主は、初夏のこの地には似つかわしくない、顔を隠す程の外套に身を包み、背中には大きな麻袋を背負っている。埃と、何やらよくわからない薄茶色の滲みに塗れている草臥れた外套、そして汗と潮風の混じる如何ともしがたい臭い。物乞い、と見てもおかしくはないその容貌に、すれ違う人々は皆、眉を顰め蔑みと忌嫌の一瞥を与えて通り過ぎてゆく。
俯きがちなその影は、そんな周りの視線には全く気付かず(あるいは気にも留めず)、時折立ち止まっては汗を拭い、また、歩みを進めた。
 やがて目的の場所へ着いたのだろうか、ある建物の前で立ち止まると、頭にかぶっていた外套を下ろした。現れた髪が、ふいに駆け抜けた潮風になびく。建物の入り口には、こう書かれている。

「セビリア第3商館」

その看板の下には、現在商館を所有している商会の名前が添えられている。何かを懐かしむような眼差しでそれを見つめると、外套を目深にかぶり直し、そのドアを開いた。


**

 商館を訪れる者はその会館を所有する商会会員が殆どだが、偶に商会が持ち寄った交易品の数々を、仲介人(あるいは政府機関)を通さずに直接買い付けに来る者や、商会への入会を志願する者、商会員の友人、そして単に商館の場所を間違えた他の商会員などがその戸を叩く。日中は閑散としている商館だが、今日は珍しく何人かの商会員と、カウンターの向こうには、書類の山に奮闘している商会秘書の姿があった。カウンターの前に並んだテーブルの一つを、4人の商会員が囲んでいる。

 「おかげさまで、バージニアの方は随分と開拓が進んでいます。ありゃもう、開拓地というよりは街と呼んでいいんじゃないですかね」
若い航海者の男が麦酒の入った杯を傾けながら言った。
 「それは頼もしいな。船の整備が終わり次第、俺も向かう心算だが・・・そうだな、手土産に商館の酒樽から、選りすぐりのとびきり旨いバーボンをたらふく持って行ってやるとするか」
軍人風の男が豪放な笑い声を響かせる。頬に刻まれた十字が、楽しげに歪む。
「ここにはとびきり旨いバーボンしか置いていませんよ」と商会秘書が口を挟む。「そうだったな」と軍人風の男はまた笑い、グラスに煌く琥珀色を飲み干した。
 「こ、こんな素晴らしい商会に入会する事が出来て、ゆ、夢のようです!ババッ、バ、バージニアでは皆さんのお役に立てるよう、精一杯頑張りたいです!」
緊張した面持ちだが、目を輝かせてそう言ったのは、まだ染め物小屋の匂いが漂ってくるような、真新しい航海服を纏った青年だ。腰には望遠鏡をぶら下げている。おそらく地理学か考古学あたりを学んでいる航海者なのだろう。
 「まぁ、そう気負うな。見聞を広めると思って、気楽にやるといいさ」
壮年の男が、その顎に蓄えられた見事な髭を撫ぜながら声をかけた。赤銅色に光る顎鬚が、窓から射し込む陽光に照らされ、燃えている様に輝く。
 「よし、ここは前途有望な若者二人に敬意を表して、乾杯しておくとするか」
軍人風の男がテーブルを両掌で叩き鳴らし、からかうように言う。程なくして笑い声と共に杯のぶつかる音が商館に響いた。

 軋む様な、戸を開く音が聞こえたのはその時である。
こんな時分に戸が開くことは稀だ。その場にいた全員が戸の方を見やった。その先には物乞いのような、小さな影が一つ。


***

 「Salue...」

 何やら聞いたことの無い不思議な言葉を発すると、ちょこん、とお辞儀をし、その麻袋を床に置いた。麻袋についていたのだろう、埃が舞い上がる。戸から吹き込む風に、如何ともしがたい臭いが乗り、館内を駆け抜けた。館内にいた者全てが、思わず顔を歪ませる。そして暫時の後、壮年の男が声をかけようとした。が、すぐさまそれを航海者の青年が制する。私に任せてください、と言わんばかりの素振りだ。

 「御仁。貴殿がどこでどうやってここに辿り着いたのかは解りかねるが、ここは貴殿の来る様なところではない。失礼だがお引取り願いたいのだが」
丁寧だが威圧的な口調で、小さな影に迫った。

 「Sed hic mercatorum instauratione "Burbonius Domus"? Ego est membrum hoc firma......Et...」

小さな影は、航海者の方を見ないまま、麻袋を開けにかかった。自分を気にも留めない、無視するようなその所作が気に障ったのか、航海者の青年は小さな影が喋るのを遮り、一層語気を強めて言う。
 「何をわけのわからない事を・・・・・・。ここはセビリアだぞ。スペイン語で話したらどうだ、物乞いの御仁!さっさとここから出て行きたまえ!」

 「......Heus,ibi est nautae discurrentia? Et, non homo. Ego Mulieres...... Heus, Gordon, Mittermeier. Fuit a dum. Sunt vobis faciens?」

小さな影は気に止めず、青年の後ろに座する男達に声をかけた。そして麻袋の中から一本の琥珀色を取り出すと、かぶっていた外套を下ろした。
その時。

 「It's about time that you stop playing a joke on him. Don't you think so,Miss.Interpreter?」
 「(そのあたりで勘弁してやってくれないか?通訳家のお嬢さん)」

壮年の男が小さな影に告げた。その顔は、困ったやつだ、とでも言いたげな苦笑を浮かべている。軍人風の男は、気が触れたか、と思うような大きな笑い声をあげた。

 「久しぶりだね、お二人さん。と、威勢のいい航海者くんと、そこのBiktima ng piratesが服着てるような冒険者さんははじめまして。大丈夫?口がポカンと開いてるけど。ラテン語くらいは出来ないと冒険者は務まらないよ?」

顔は健康的な小麦色。その顔には二つの瑠璃玉。瑠璃玉の一方には不釣合いな一文字の傷痕が走る。そして、麦浪を思わせる金色の長い髪。そして、声色を変えていたのか、先程までとは打って変わって、その声は快活な少女のそれであった。

 「おかえりなさいませ」

商会秘書が声をかけた。

狐につままれたような面持ちの若い航海者二人。

 「よく帰ってきたな。その様子だと、随分と方々を廻ってきたようだ。ここはひとつ、酒の肴に話を聞かせてはくれないか」

壮年の男が赤銅色の顎鬚を撫ぜながら言う。

 「それは先にこいつを風呂に入らせてからだぜ、赤髪の御仁」

ようやく笑いの収まった軍人風の男が、涙の浮かぶ顔をしかめながら言った。

 「ただいま」

少女が満面の笑みで応える。

麦浪が風になびく。如何ともしがたい臭いと共に。



テーマ:大航海時代Online
ジャンル:オンラインゲーム

コメント

No title

すげえ!

思わずニヤリだわ^^
てか、俺もINする詐欺状態でなかなか復帰できないw

bonus!

いやうまいなぁ。マルチリンガル感満載ですな。
しかし・・・お風呂入ってください(´・∀・`)

No title

>疾風の
インするのはもうちょっと後になりそう・・・。
お金がn(ry
続きSSはよ

>赤髪の
ラテン語はグーグル先生なので、ちょっとおかしいかもですが、雰囲気だけ感じてもらえれば・・・!
最初はナワトルの予定だったんですが、資料が無さ過ぎた・・・( ´・∀・`)
リアルではちゃんと入ってます・・・!
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まとめtyaiました【その18:帰れる場所があるから】

それは、日が昇りきった、ある日の午後の話。
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