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その4:錆付いたマスケット銃

2012.06.11 02:20|大航海時代SS
※2010年2月5日掲載

2010020501.png

房の朝は早い。
*

 水平線の向こうに杏のような太陽が浮び上がる頃、いつものように仕事場へ向かう。土地柄の冷たい風が身を引き締めてくれ、妙に心地よい。
歩きながら、浮かぶ鉛色の雲を仰ぎ、短く息を吐いた。鍵を開け、表の戸を開け放ち、光を入れる。
ここは我が小さき城。そして俺はこの霧の街に店を構える一介の職人だ。

「さて、今日は何から取り掛かるとするかな・・・」

作業用の机に目をやる。と、目に飛び込んできたのは小難しい装飾品の図案でもなく、精細に描かれた船部品の図面でもなく、飲みかけのウイスキーが入ったコップ。

「あぁ、そうだった・・・。アレをどうにかしないとな」

思わず頭を掻いた。


**

 工房には色んな客がやって来る。船道具を買い求める航海者が大半だが、脚の壊れた椅子を持ってくる者、ひしゃげた真鍮の玩具をぶら提げた、泣き疲れた子供を連れた老婆。弾詰まりをおこした銃を持ってくる狩人。
中には、

「戦ごとは辞めだ。これからは愛に生きることにした。この剣を、我が愛しき恋人に捧げる装飾品に鋳直してくれたまえ」

なんて世迷言を抜かす御貴族様もやって来る。その血を微塵も吸っていない飾り物の剣なら、さぞいい装飾品に変わるだろうよ。と、悪態の一つでも投げてやりたいところだが・・・。
そんな中で、飲みかけのウイスキーを拵えた客がやってきたのは昨日の事だ。何日ぶりかに顔を見せた太陽に照らされた頭髪が赤く輝き、口元には髭をたくわえた屈強な男が一人。

「あんたかい。久しぶりだな。見違えたよ。前に来た時もそうだったが・・・今日もまた随分と変わった服を着ているじゃないか」

「よう、しばらくだな。これはあれだ、東方の服だよ。潮風の届く店だ。あんたも見聞きしたことはあるだろう?」

赤髪の男が答えた。この街を拠点とし、航海に乗り出した男。付き合いも随分と長い。駆け出しの頃は面倒も見てやったが、この男が有志を集め、服から大砲まで自分等で調達できる組合を作ってからは、港ですれ違う時、たまに言葉を交わす程度だった。

「今日は、頼みたい事があって、こうして訪ねて来たのさ」

見ると片手には、布に包まれた棒状の何かが握られている。
しかし、らしくないことを言う。

「おいおい、東方の国じゃあ二言目に冗談を言うのが流行っているのかい?あんたのとこには特上の大砲までこさえちまう女性(にょしょう)がいるじゃないか・・・・・・もしや喧嘩でもしたのかい」

男は短く笑った。

「そういうんじゃないよ。ただ、あんたに頼みたかったのさ。この俺の記念となる品物を、処女航海から世話になっているあんたにね」

嬉しい事を言ってくれる。

「嬉しい事言ってくれるじゃないの。まぁいいさ。品物を見せてみな」

「恩にきるよ。品物はこいつなんだが・・・」

そして眼前に置かれたのは、年季の入ったとはお世辞にも言い難い、一丁の錆付いたマスケット銃だった。

「また、えらく古めかしい御マスケット銃様だなぁ。それで、何に鋳直すんだい」

「鋳直すんじゃないよ。こいつの修復を頼みたいのさ」

「修復だって?あんたも酔狂な事を言うもんだ。こんなもの修復しても、使い物になりやしないぜ」

「まぁまぁ。ほら、ここのところを見てみな」

そう言って、差し出されたマスケット銃の、指を指している箇所を見る。

---AÇORES 1427 BourbonHouse Sevilla---

「ほほぉ・・・こいつは面白い。あんたんとこの商会の刻印入りじゃないか」

「そうなんだ。詳しい話は後にするが・・・先日大量にこいつを見つけてね。そのうちの一丁を修復してみようと思ったんだよ」

「なるほどな」

短く答える。しかし驚きだ。由緒ある商会だと聞いてはいたが、ここまで古い歴史を持つとは。

「わかったよ。修復しようじゃないか。見違えるほどの逸品に仕上げてやるよ」

「ありがたい。それじゃ代金はいつもどおり品物と・・・」

言葉をさえぎった。

「こいつは商売の外だよ。そうだな・・・完成したら一杯のウイスキーでも奢ってくれ」


 店じまいの後、俺は錆付いたマスケットを前にコップを傾けていた。

「1427年・・・あの辺境のアゾレスが発見された年、か」

独りごちる。

「材料は・・・造船所からまわした方が早い、が・・・」

ため息を吐く。

「造船所、か・・・あまり気が進まないが・・・」


***

「そうだった、そうだった」

昨日の出来事を思い出しながら、机に置かれた飲みかけのウイスキーを取り、一気に飲み干す。開ききった華やかな香りが鼻腔を抜けていく。
もう表の方は随分と騒がしい。慌しい靴の音が聞こえてくる。

「今日は開店は昼からだな。先に造船所に行くとするか・・・」

材料を書き付けたメモをポケットにしまい込み、造船所へと向かった。

 造船所では、もう金槌と鋸の交響曲が始まっていた。俺は御マエストロ、武器担当の長に声をかけた。

「よぉ、しばらくだな。儲かっているかい」

担当長がこちらを向いた。手を挙げた後、短く指示を出すと、こちらへ歩いてきた。

「おかげさまでな。例の東方の国が発見されたおかげで、見たことも無い船を注文してくる奴が多くてな」

「それは結構なことじゃないか」

「ああ。忙しいだけなら良いんだが・・・親方のぼやきも増えて困るよ。捕まらない内に帰りな。材料の買い付けかい?」

気が進まなかった理由がここにある。ここの造船所親方のぼやきは、捕まったら最後、予定が1日延期になる、と商売仲間の間では有名な話だ。

「そうだな。手短に済ませるとするよ」

俺は担当長に書き付けを渡した。

と、その時。今一番聞きたくない声が、カロネード砲の弾よろしく降り注いだ。

「おぉ、久しぶりじゃねぇか!なぁなぁ、ちょっと聞いてくれよ」

苦笑いの担当長に十字を切り、俺は声のする方へと向かった。


****

「ほらよ。これでどうだい」

2週間ほどの後、修復を終えたマスケット銃は無事に男の元へと戻っていった。
たいした修復はしていない。文字をはっきりと読めるようにし、壁にかけられていても見劣りのしないようにしてやったぐらいか。

「ありがとう。こいつは商館に飾らせてもらうよ」

男は満足そうな表情を浮かべ、工房を後にした。

「さて、そろそろ店じまいするか」

酒場には、この日の為に用意したという極上のウイスキーを持って、男が待っている。

「まぁ、バーボンに外れは無いんだがな・・・」

立ち上る白い息は、これから始まる”till dawn”への狼煙。
短く笑うと、表に「本日休業」の看板を掛け、俺は戦場へと向かった。





おわり。





例のアレを書いてみました。同じく日にちをかけずに頑張ってみました( `・ω・´)

あの御題に応えてくれた彼へのリスペクトも混ぜてみて、その後のような展開になっていますヽ(・∀・)ノ

そんなこんなで、また次回。

テーマ:大航海時代Online
ジャンル:オンラインゲーム

コメント

No title

「あぁ、そうだった・・・。アレをどうにかしないとな」
思わず頭を掻いた。

ってところ、職人の動作と情景が目の前に一気に広がってきました。
ゾクッときましたぜ。

あの銃のアフターストーリーにしてしまうなんて、さすがです(`・ω・)b

No title

>アナゴ氏
今回の話はあの話の後日談みたいにしよう、とひらめいて、そこからは割とスンナリでした( ´∀`)
色々と引用させてもらいました( `・ω・´)

No title

ショートショートって、ちょっとはしょった感じの粗引きなとこがいい味出すんだろうって思うけど、ネヤ㌧のはまとまってるんだよねえ割と。

これ以上はチャットで褒めたのでいいませんっ

ちょっと疑問がでたので、質問。「戦場」ってのは酒場ってことでOKなんでしょか?

No title

うーん、アナゴさんのあれから更に進めたんですね。

続きがありそうなので期待してます。

No title

>ミタ㌧
さあさあ、もっと褒めて!ヽ(・∀・)ノ
昨日はお疲れ様~。

>ロドさん
昨日はお疲れ様でした( ´∀`)
さぁ、ロドさんも続きを書いてみるんだ!ヽ(・∀・)ノ
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