FC2ブログ

スポンサーサイト

Neya

Neya

-
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
Posted byNeya

Hervest 16: Other Writings ; Bloodline

Neya

Neya

2018021602.jpg

相変わらずの書類の山に、思わずため息を漏らす。

商会の財務から商館の掃除に至るまで、商会秘書の仕事というのは、本当に忙しさに事を欠かない。
秘書の男は、今日もまた高々と積みあがった書類の山を、どうやって踏破してやろうかと、商館の中で一人、あれこれ思案していた。

「よぉ、ラーベナルト。調子はどうだい」

商館に一人の男がやってきた。浅黒い肌に一筋の傷痕。小柄ながらもよく鍛錬された体躯は、その服装と腰の物もあって、正しく軍人のそれであった。

「あぁあなたですか、商会長。調子は・・・・・・どうですかね、相変わらずですよ」

ラーベナルトと呼ばれた秘書の男は、書類に目を通しながら言った。商会長の男は、カウンターを挟んで秘書の前に据えられた椅子に腰をかけた。

「じゃぁ、バーボンをもらおうかな。とびきり旨いやつを頼むよ。ストレートで」

「ここにはとびきり旨いバーボンしか置いてませんよ」

言いながら、ラーベナルトは棚に置かれていた琥珀色に輝く酒瓶を取り出し、男の前に置かれたグラスになみなみと注いだ。

「聞きましたよ、商会長。この間、また大暴れしたんですって?酒場で噂になってますよ」

「あぁ~・・・あの話か」

商会長の男は、ばつが悪そうに頭を掻いた。

「あれは・・・過去にいた商会員の話を持ち出して、うちの商会員を侮辱してくる奴がいたからさ・・・。ほら、そういう輩には言葉より拳。わかるだろ?」

男が反論の言葉を述べる。

「だからと言って、酒場をグラナダにしていい理由にはなりませんよ。見てくださいよ、これ。酒場の修理費は全部うちの商会持ちですよ」

そういって、一枚の書類を取り出すと、男の眼前につき出した。

「悪かったよ・・・・・・今度は気をつけるからさ」

「全く・・・。そういう血気盛んなところは父親譲りというか何というか。気をつけてくださいよ」

そう言って、ラーベナルトは書類の山に向かった。
一方、男はグラスを傾けながら商館の中を見回す。

「ここも随分と古くなったなあ。俺が親父に連れられて来たのが20年前・・・そりゃ古くなるって話だな」

「そうですね。貴方が酒場で暴れなければ、少しは改装できたんですが」

「そんなこと言うなよ・・・俺は今のままの商館も嫌いじゃないぜ?幾つもの出会いと別れを見守ってきた、そんな歴史を感じさせる気がしてさ。ラーベナルトの親父さんもここで秘書やってたんだろ?その頃から変わらない歴史ある商館ってのも、俺たちの商会には似合いかもしれないしな」

「そうかもしれませんね。ほら、そこの柱の刀傷。貴方の父親と御友人の赤毛の御仁が言い合いになった時に付いた傷です。そしてその向こうの壁の傷は・・・あの多言語を操っていた褐色の女性(にょしょう)が、酔って酒瓶をぶつけた時に出来た傷です」

「どうしてそんな悪態ばかりつくかなぁ・・・。まぁいいさ。俺達の商会には、お前みたいな冷静な秘書が必要なのかもしれないさね」

商会長の男が、琥珀色を一気に飲み干す。

「これから新しい入会希望者の面接なんだ。よろしく頼むぜ、ラーベナルト2世さんよ」

「何をかしこまっているんですか、気味が悪いですよ」

程なくして、外から扉を叩く音が聞こえてきた。

「お、着たみたいですね。しっかり頼みますよ、フェリックス商会長」

商会長の男は短く笑うと、扉を叩く音に応えた。

「ようこそ、バーボンハウスへ。さぁ、面接を始めようか」






※このお話は、以前ブログに載せていた、「大航海時代ONLINE」を題材としたショートショートです。
Posted byNeya

Comments - 0

There are no comments yet.

Leave a reply

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。