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Leek Field**

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Hervest 19: Other Writings ; From Sevilla bar

「私が花なんて、柄じゃないわね」*カサブランカの港に乾いた風が走りぬける。港に立ち、海を見つめながら、銀髪の戦乙女が呟いた。鈍色の光を放つ甲冑を着込んだ彼女の腕には、両腕に余る程の紫色の花束が抱えられている。「中々お似合いですよ、船長」緋色の航海服に身を包んだ男が銀髪の戦乙女に声をかけた。「うるさいわね。それよりリカルド、物資の積込みは完了したの?」「えぇ、全て完了しました。それにしてもあの婦人、...

Hervest 18: Other Writings ; Wailing Trigger

男は苦悩していた。彼は今、己の敬愛してやまない人物を手にかけようとしている。* 彼は、とある町工場の従業員である。昔ながらの工場が雑多に立ち並ぶ、そんな場所にその町工場はあった。「ARKS」と呼ばれる政府調査機関の近辺に位置するこの地域は、その土地柄、使用される銃火器をはじめとし、フォトンの定着に使用される媒体、身を保護する装甲の類、キャストと呼ばれる機械種のパーツにいたるまで、あらゆる物を供給してい...

Hervest 17: Other Writings ; Reunion

それは、日が昇りきった、ある日の午後の話。* セビリアの閑静な商館地区に、小さな影がひとつ。その影の主は、初夏のこの地には似つかわしくない、顔を隠す程の外套に身を包み、背中には大きな麻袋を背負っている。埃と、何やらよくわからない薄茶色の滲みに塗れている草臥れた外套、そして汗と潮風の混じる如何ともしがたい臭い。物乞い、と見てもおかしくはないその容貌に、すれ違う人々は皆、眉を顰め蔑みと忌嫌の一瞥を与え...

Hervest 16: Other Writings ; Bloodline

相変わらずの書類の山に、思わずため息を漏らす。商会の財務から商館の掃除に至るまで、商会秘書の仕事というのは、本当に忙しさに事を欠かない。秘書の男は、今日もまた高々と積みあがった書類の山を、どうやって踏破してやろうかと、商館の中で一人、あれこれ思案していた。「よぉ、ラーベナルト。調子はどうだい」商館に一人の男がやってきた。浅黒い肌に一筋の傷痕。小柄ながらもよく鍛錬された体躯は、その服装と腰の物もあっ...

Hervest 15: Other Writings ; A Chance

工房の朝は早い。* 水平線の向こうに杏のような太陽が浮び上がる頃、いつものように仕事場へ向かう。土地柄の冷たい風が身を引き締めてくれ、妙に心地よい。歩きながら、浮かぶ鉛色の雲を仰ぎ、短く息を吐いた。鍵を開け、表の戸を開け放ち、光を入れる。ここは我が小さき城。そして俺はこの霧の街に店を構える一介の職人だ。「さて、今日は何から取り掛かるとするかな・・・」作業用の机に目をやる。と、目に飛び込んできたのは小難...
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